
着物の「格」とは?フォーマルからカジュアルまでシーン別解説
日本の伝統衣装である着物は、その美しさだけでなく、着用シーンに応じた「格(かく)」という概念が存在します。
この「格」は、着物の種類、素材、染めや織りの技法、そして紋の有無によって決まり、TPO(時・場所・場合)に合わせた着こなしをする上で非常に重要な要素となります。
現代において、着物を着る機会が減ったと感じる方もいるかもしれません。
しかし、結婚式や成人式、七五三といったお祝いの席から、観劇やお食事会、ちょっとしたお出かけまで、着物は私たちの日常に彩りを添える、特別な装いとして改めて注目されています。
この記事では、着物の「格」を徹底的に解説し、フォーマルからカジュアルまで、それぞれのシーンにふさわしい着物の選び方を詳しくご紹介します。
着物初心者の方から、さらに深く着物の世界を知りたい方まで、あなたの着物ライフがより豊かになるよう、分かりやすくご説明していきます。
着物の「格」を理解する基本要素
着物の「格」は、主に以下の3つの要素で決まります。
- 種類(分類):留袖、訪問着、小紋など、着物そのものの種類が持つ「格」。
- 素材・染め・織り:使われている生地の素材、染めや織りの技法が持つ「格」。
- 紋(もん):着物に入れる家紋の有無と数、種類が持つ「格」。
これらの要素が複合的に組み合わさることで、一枚の着物の「格」が決まります。
【最高格】フォーマルな着物

結婚式や披露宴、格式高い式典など、人生の節目となるような特別な場に着用する着物です。
華やかさと品格を兼ね備え、伝統的な美意識が凝縮されています。
1. 黒留袖(くろとめそで)
特徴
既婚女性の第一礼装であり、最も格式の高い着物です。
地色は黒一色で、裾だけに絵羽模様(えばもよう)と呼ばれる絵画のような模様が描かれています。
この絵羽模様は、身頃から袖にかけて縫い目をまたいで一枚の絵のように繋がっているのが特徴です。
背中に一つ、両袖の後ろに一つずつ、両胸に一つずつ、合計五つ紋が入ります。
着用シーン
新郎新婦の母親、仲人夫人、親族として結婚式や披露宴に参列する際に着用します。
正礼装であるため、その他のフォーマルな場でも着用できますが、一般的には結婚式での着用が主です。
小物合わせ
帯は袋帯(ふくろおび)を合わせます。金糸や銀糸がふんだんに使われた、格調高い吉祥文様(きっしょうもんよう)や有職文様(ゆうそくもんよう)の袋帯を選びます。
帯揚げ、帯締めは白または白金銀、またはそれに準ずる上品な色合いのものを選びます。
末広(すえひろ、扇子)は必須です。草履、バッグも金銀を基調とした礼装用のものを選びます。
2. 色留袖(いろとめそで)
特徴
地色が黒以外の色(訪問着のような華やかな色が多い)で、黒留袖と同様に裾に絵羽模様が描かれています。
未婚・既婚を問わず着用できます。
紋の数によって格が変わるのが特徴で、五つ紋であれば黒留袖と同格の第一礼装、三つ紋や一つ紋であれば準礼装として扱われます。
着用シーン
五つ紋の色留袖は、黒留袖と同様に結婚式の新郎新婦の母親や親族が着用できますが、黒留袖よりやや控えめな印象です。
三つ紋や一つ紋の色留袖は、結婚式の参列者、叙勲の式典、宮中行事、お子様の入学式・卒業式など、幅広いフォーマルシーンで着用できます。
小物合わせ
黒留袖と同様に、格調高い袋帯を合わせます。
帯揚げ、帯締めは着物の色や柄に合わせて上品なものを選びます。末広は必須です。
3. 振袖(ふりそで)
特徴
未婚女性の第一礼装です。最大の特徴は、袖が長く、身八つ口が閉じられていないことです。
袖丈の長さによって、「大振袖(おおふりそで:約114cm以上)」「中振袖(ちゅうふりそで:約99〜108cm)」「小振袖(こふりそで:約76cm)」に分けられ、袖が長くなるほど格が高くなります。
一般的に着用されるのは中振袖です。華やかで多様な色柄が特徴で、絵画的な絵羽模様が施されています。
紋は入れないのが一般的です。
着用シーン
成人式、卒業式、結婚式の披露宴(友人として参列)、結納、パーティー、お見合いなど、未婚女性が華やかに装う場に着用します。
小物合わせ:
豪華な袋帯を合わせます。帯結びも様々なバリエーションがあり、華やかさを演出します。
帯揚げ、帯締めも華やかな色や装飾のあるものを選びます。
重ね衿(伊達衿)や帯留めなどで個性を出すこともできます。草履やバッグも華やかなものを選びます。
4. 訪問着(ほうもんぎ)
特徴
未婚・既婚を問わず着用できる準礼装です。胸、肩、袖、裾にかけて、縫い目をまたいで柄が繋がる絵羽模様が特徴です。
地色や柄の制約が少なく、友禅染めなどによって華やかで多彩なデザインがあります。
紋は入れないことが多いですが、一つ紋を入れることでよりフォーマルな場にも対応できます。
着用シーン
結婚式の参列、入学式・卒業式、七五三、お宮参り、パーティー、お茶会、観劇など、幅広く着用できるため、最も重宝される着物の一つです。
小物合わせ
袋帯を合わせます。着物の柄や色合いに合わせて、フォーマル感を高める金銀糸や色数の多い華やかな帯を選びます。
帯揚げ、帯締めも着物との調和を考えて選びます。
5. 付け下げ(つけさげ)
特徴
訪問着と小紋の中間に位置する着物で、準礼装からおしゃれ着まで幅広く対応します。
訪問着のように絵羽模様が繋がるのではなく、柄が全て上向きになるように染められているのが特徴です。
訪問着よりも柄付けが控えめなことが多く、紋は入れないのが一般的ですが、一つ紋を入れることもあります。
着用シーン
パーティー、お茶会、観劇、お食事会、お子様の学校行事など、訪問着よりもやや控えめな装いをしたい場合に適しています。
小物合わせ
袋帯または格の高い名古屋帯を合わせます。着物の柄付けや着用シーンに合わせて選びます。
【中間〜普段着】セミフォーマル・カジュアルな着物

友人との食事会、お稽古事、美術館巡り、ちょっとしたお出かけなど、日常の中で着物を楽しむための着物です。
比較的自由な着こなしができ、個性を表現しやすいのが特徴です。
6. 色無地(いろむじ)
特徴
地色が単色で、柄が全くない着物です。未婚・既婚を問わず着用できます。
紋の有無や数によって格が大きく変わり、汎用性の高い着物です。五つ紋を入れると準礼装、三つ紋や一つ紋を入れると略礼装や準礼装として、紋を入れなければおしゃれ着として着用できます。
地紋(じもん:織りで表現された模様)があるものも多く、光の加減で地紋が浮き出ることで控えめな美しさを演出します。
着用シーン
一つ紋を入れた色無地は、入学式・卒業式、お宮参り、七五三、お茶会、法事(地色が地味な色の場合)など、幅広いシーンで着用できます。
紋がない場合は、普段使いのおしゃれ着として活用できます。
小物合わせ
紋の数や着用シーンに応じて、袋帯または名古屋帯を合わせます。
フォーマルな場では金銀糸の入った格調高い帯を、カジュアルな場では洒落感のある帯を合わせます。
7. 小紋(こもん)
特徴
全体に同じ柄が繰り返し染められているのが特徴の着物です。
柄の大きさや種類が非常に豊富で、可愛らしいものから粋なものまで多種多様です。
型染めが主流のため、比較的リーズナブルな価格帯で手に入りやすいのも魅力です。紋は入れません。
着用シーン
友人との食事会、観劇、映画鑑賞、美術館巡り、お稽古事、ショッピングなど、最も気軽に楽しめる普段着の着物です。柄によっては、ちょっとしたパーティーにも着ていけます。
小物合わせ
名古屋帯を合わせるのが一般的です。半幅帯(はんはばおび)を合わせてよりカジュアルに着こなすこともできます。
帯や帯締め、帯揚げの組み合わせで、着こなしの印象を大きく変えることができます。
8. 紬(つむぎ)
特徴
先染めの糸を織り上げて柄を表現する織りの着物です。
独特の節(ふし)がある糸を使うことが多く、ざっくりとした風合いや、光沢を抑えた素朴な温かみが魅力です。
染めの着物と異なり、普段着としての格付けが基本です。
代表的なものに大島紬、結城紬、牛首紬などがあり、それぞれ独特の風合いと柄を持ちます。紋は入れません。
着用シーン
友人との食事会、お稽古事、旅行、ショッピング、普段使いなど、カジュアルなシーン全般で着用できます。丈夫でシワになりにくいため、長時間の着用や旅行にも適しています。
小物合わせ
名古屋帯を合わせるのが一般的です。
素朴な風合いの帯や、遊び心のある柄の帯がよく合います。
帯揚げ、帯締めもカジュアルな素材やデザインのものを選びます。
9. 木綿着物(もめんきもの)
特徴
綿素材で作られた着物で、その名の通り普段着の最たるものです。
吸湿性に優れ、自宅で洗濯できるものも多く、非常に扱いやすいのが特徴です。
素朴で柔らかな風合いがあり、カジュアルな柄が豊富です。
着用シーン
自宅でのくつろぎ着、近所への買い物、散歩、カジュアルなイベントなど、本当に普段着として気軽に着用できます。
小物合わせ
半幅帯や、カジュアルな名古屋帯を合わせます。足元は下駄やカジュアルな草履が似合います。
10. 浴衣(ゆかた)
特徴
もともとは湯上りに着る肌着でしたが、現代では夏の普段着として定着しています。
綿素材が主流で、吸湿性・通気性に優れています。長襦袢を着ないで素肌の上に直接着用し、半幅帯を合わせます。
着用シーン
夏祭り、花火大会、盆踊り、近所の散歩、夕涼みなど、夏のカジュアルシーンに最適です。
小物合わせ
半幅帯を合わせます。巾着や籠バッグ、下駄が定番の組み合わせです。
着物の「格」と紋(もん)

着物の「格」を語る上で、紋(もん)の有無と数は非常に重要な要素です。
紋は家紋を指し、着物に入れることでその着物の格を上げることができます。
紋の種類と数
紋の種類には、大きく分けて以下のものがあります。
- 日向紋(ひなたもん):紋の輪郭を白く抜き、内側を黒く染め抜いた最も格式の高い紋です。
- 陰紋(かげもん):紋の輪郭のみを線で表した、控えめな紋です。日向紋より格が下がります。
- 縫い紋(ぬいもん):紋を糸で刺繍したもの。日向紋や陰紋よりさらに格が下がります。おしゃれ紋として用いられることもあります。
紋の数は、着物の格を大きく左右します。
- 五つ紋:背中、両袖の後ろ、両胸に一つずつ合計五つの紋が入ります。最も格式が高く、正礼装として扱われます。黒留袖や五つ紋の色留袖、喪服などに用いられます。
- 三つ紋:背中と両袖の後ろに一つずつ合計三つの紋が入ります。準礼装として扱われます。色留袖や色無地などに用いられます。
- 一つ紋:背中に一つだけ紋が入ります。略礼装や準礼装として扱われます。色留袖、訪問着、付け下げ、色無地などに用いられ、幅広いシーンで着用できます。
紋を入れることで、カジュアルな着物(小紋や紬)の格を上げることはできません。
紋は、染め物の中でも「絵羽模様」を持つ着物や色無地など、ある程度の格がある着物に対して入れるものです。
紋とシーン別の着物の格
紋の数 | 着物の種類 | 格付け | 主な着用シーン |
五つ紋 | 黒留袖、色留袖(一部)、喪服 | 正礼装 | 結婚式(親族)、披露宴(親族)、格式高い式典、通夜・葬儀(喪服) |
三つ紋 | 色留袖、色無地 | 準礼装 | 結婚式(参列者)、パーティー、入学式・卒業式、お茶会 |
一つ紋 | 色留袖、訪問着、付け下げ、色無地 | 準礼装〜略礼装 | 結婚式(参列者)、パーティー、入学式・卒業式、お茶会、法事 |
紋なし | 振袖、訪問着、付け下げ、色無地、小紋、紬、浴衣 | 準礼装〜普段着 | 各種パーティー、お茶会、観劇、お食事会、普段着、夏季イベント |
着物の「格」と帯の組み合わせ

着物の格に合わせて帯を選ぶことも、着こなしの重要なポイントです。
帯にも「格」があり、着物の格と合わせることで、全体の調和が生まれます。
帯の種類と格
- 丸帯(まるおび):最も古くからある帯で、幅広の生地を半分に折って仕立てるため、表裏両面に柄があります。非常に重く、現在では花嫁衣裳や舞台衣装などにしか用いられません。最高格の帯です。
- 袋帯(ふくろおび):現在最も一般的に用いられる礼装用の帯です。表地と裏地を袋状に縫い合わせたもので、柄は表地全体に入っています。金銀糸がふんだんに使われたものや、吉祥文様、有職文様など、格調高い柄が特徴です。礼装、準礼装の着物(留袖、振袖、訪問着、付け下げ、色無地など)に合わせます。
- 名古屋帯(なごやおび):袋帯よりも短く、胴に巻く部分が最初から半分に折られて仕立てられているため、結びやすいのが特徴です。普段着からセミフォーマルまで幅広く用いられます。柄付けによって格があり、金銀糸を使ったお太鼓柄のものはセミフォーマルに、織りや染めで表現されたカジュアルな柄は普段着に合わせます。
- 半幅帯(はんはばおび):帯幅が半分で、長さも短く、もっとも手軽に締められる帯です。主に浴衣や木綿の着物、カジュアルな小紋などに合わせます。
帯と着物の組み合わせ例
- 黒留袖・色留袖(五つ紋):丸帯または袋帯(金銀糸をふんだんに使った格調高いもの)
- 振袖:袋帯(華やかで豪華なもの)
- 訪問着・付け下げ・色無地(紋付き):袋帯(金銀糸、または着物に合わせた華やかなもの)
- 色無地(紋なし)・小紋:名古屋帯(柄や素材で格を調整)、半幅帯(小紋のカジュアル度が高い場合)
- 紬・木綿着物・浴衣:名古屋帯(カジュアルなもの)、半幅帯
着物の格と帯の格を合わせることで、洗練された着こなしが完成します。
シーン別 着物の選び方と着こなし術

具体的な着用シーンを想定して、どのような着物を選ぶべきか、そしてどのように着こなせば良いかを見ていきましょう。
1. 結婚式・披露宴
新郎新婦の母親・仲人夫人
- 着物: 黒留袖(五つ紋)が最も格式高く、ふさわしい装いです。最近では、五つ紋の色留袖を着用する方も増えています。
- 帯: 金銀糸がふんだんに使われた、格調高い吉祥文様や有職文様の袋帯。
- 小物: 白または白金銀の帯揚げ・帯締め。末広は必須。礼装用の草履とバッグ。
- ポイント: 最も厳格な装いです。控えめながらも品格と華やかさを兼ね備えた着こなしを心がけましょう。
親族(既婚・未婚問わず)
- 着物: 色留袖(三つ紋または一つ紋)、訪問着(紋付きまたは紋なし)が適しています。
- 帯: 華やかな袋帯。
- 小物: 着物の色や柄に合わせた上品な帯揚げ・帯締め。
- ポイント: 新郎新婦の母親よりは控えめにしつつも、お祝いの席にふさわしい華やかさを意識します。
友人・同僚
- 着物: 未婚であれば振袖が最適です。既婚であれば訪問着(紋なしでも可)、あるいは華やかな付け下げ。最近では、地味すぎない色無地(一つ紋)を選ぶ方もいます。
- 帯: 華やかな袋帯。
- 小物: 振袖は重ね衿などで個性を出すのも良いでしょう。
- ポイント: 主役は新郎新婦なので、あまり派手になりすぎないように注意しつつ、お祝いの気持ちを表す華やかさを選びます。
2. 成人式
- 着物: 未婚女性の振袖が唯一無二の選択肢です。
- 帯: 振袖に合わせた豪華な袋帯。華やかな帯結びも楽しめます。
- 小物: 帯揚げ、帯締めも華やかなものを選び、重ね衿や帯留めなどで個性を演出します。ファーショールも定番です。
- ポイント: 一生に一度の晴れの舞台。思いっきり華やかに、自分らしい振袖姿を楽しみましょう。
3. 入学式・卒業式
- 着物: 母親として出席する場合、訪問着(一つ紋)、色無地(一つ紋)、または控えめな柄の付け下げ(一つ紋)が適しています。
- 帯: 格調高い袋帯。
- 小物: 上品な色合いの帯揚げ・帯締め。
- ポイント: お子様が主役の場なので、控えめながらも品格のある装いを心がけます。卒業式はやや落ち着いた色、入学式は明るい色を選ぶ傾向があります。
4. 七五三・お宮参り
- 着物: お子様の付き添いの母親として、訪問着(紋なしまたは一つ紋)、色無地(一つ紋)、付け下げ(紋なしまたは一つ紋)が適しています。
- 帯: 袋帯または格の高い名古屋帯。
- 小物: 上品で明るい色合いの帯揚げ・帯締め。
- ポイント: お子様の成長を祝う場なので、華やかさを持ちつつも、主役であるお子様を引き立てるような優しい色合いを選ぶのがおすすめです。
5. お茶会(茶事・茶会)
- 着物: 席の格によって異なりますが、一般的には色無地(紋付き)、江戸小紋(紋付き)、付け下げ、訪問着(紋なし)などが適しています。格式高い茶事であれば色無地や江戸小紋の紋付きが望ましいでしょう。
- 帯: 格の高い名古屋帯または袋帯。
- 小物: 控えめで上品な色合いの帯揚げ・帯締め。
- ポイント: 清潔感を重視し、派手すぎない落ち着いた色柄を選びます。茶席では袖が長いと邪魔になることもあるため、訪問着の場合は袖丈が短めのものが好まれることもあります。
6. 観劇・コンサート
- 着物: 小紋、付け下げ(紋なし)、色無地(紋なし)、紬など、比較的自由な選択が可能です。
- 帯: 名古屋帯。
- 小物: 着物や帯に合わせたおしゃれな帯揚げ・帯締め。
- ポイント: TPOに合わせつつも、自分の個性を表現できる場です。会場の雰囲気に合わせた色柄や、座り心地の良い素材を選ぶと良いでしょう。
7. お食事会・同窓会
- 着物: 小紋、紬、付け下げ(紋なし)、色無地(紋なし)など。
- 帯: 名古屋帯。
- 小物: おしゃれな帯揚げ・帯締め。
- ポイント: 友人との楽しいひとときを過ごす場なので、あまり堅苦しくなりすぎず、自分らしいおしゃれを楽しむのが良いでしょう。
8. 普段着・お稽古事・近所への買い物
- 着物: 小紋、紬、木綿着物、浴衣(夏場)など。
- 帯: 名古屋帯、半幅帯。
- 小物: カジュアルなものを選び、季節感や遊び心を取り入れます。
- ポイント: 気軽に着られることが一番。お手入れのしやすい素材や、動きやすい着こなしを心がけましょう。
着物の「格」に関するQ&A
Q1. 着物の「格」は必ず守らないといけないの?
A1. 基本的には、日本の伝統的なマナーとして「格」を守ることが推奨されます。特に結婚式や格式高い式典など、フォーマルな場では厳格に守るべきとされています。しかし、カジュアルな場や親しい間柄での集まりなど、TPOによっては多少の自由が許容されることもあります。迷った場合は、主催者や周囲の人に尋ねるか、少し格の高いものを選ぶ方が無難です。
Q2. 紋がない着物はカジュアルになるの?
A2. 紋がない着物でも、着物の種類によっては十分フォーマルな場に対応できます。例えば、紋がない訪問着は結婚式の友人としての出席や入学式・卒業式にも着用できます。振袖は未婚女性の第一礼装ですが、紋は入れないのが一般的です。紋はあくまで格を上げるための要素の一つであり、着物全体のバランスで判断することが重要です。
Q3. 紬を着て結婚式に出席しても良い?
A3. 紬は「おしゃれ着」であり、「普段着」の延長線上にある着物とされています。そのため、結婚式のようなフォーマルな場には不適切です。たとえ高価な紬であっても、織りの着物は染めの着物よりも格が下がります。結婚式には、染めの着物(留袖、振袖、訪問着、色無地など)を着用するのがマナーです。
Q4. 小紋で結婚式に出席しても良い?
A4. 小紋は基本的に普段着の着物なので、結婚式の披露宴などには不適切です。ただし、近年はホテルなどで開かれる二次会やカジュアルな披露宴など、より自由な雰囲気のパーティーであれば、小紋でも問題ないとされるケースもあります。迷った場合は、訪問着や付け下げなど、より格の高い着物を選ぶ方が安心です。
Q5. 帯の「格」も重要?
A5. はい、着物と同様に帯の「格」も非常に重要です。いくら格の高い着物を着ていても、カジュアルな帯を合わせると全体の格が下がってしまいます。逆に、普段着の着物に礼装用の帯を合わせても不自然です。着物の格と帯の格を合わせることで、初めて洗練された着こなしが完成します。
着物の「格」まとめ
着物の「格」は、単なるルールではなく、日本の伝統的な美意識と心遣いが凝縮されたものです。
それぞれの着物が持つ背景や意味を理解することで、より深く着物の魅力を味わうことができます。
今回ご紹介した「格」の概念は、着物選びの大きな指針となります。
しかし、最も大切なことは、TPOをわきまえつつ、ご自身が心地よく、自信を持って着物を楽しむことです。
着物は、着る人の心を豊かにし、その場を華やかに彩る素晴らしい文化です。
ぜひ、この記事を参考に、あなたにぴったりの一枚を見つけ、日本の美しい着物文化を存分に楽しんでください。
着物を着る機会が増えれば、きっと新しい発見や感動が待っていることでしょう。
(記事制作者:廣田 )