
着物をビジネスシーンで着こなす方法:信頼感を高める和装術
着物は「特別な日の装い」というイメージが強い一方、
最近はビジネスシーンで着物を取り入れる人も増えています。
海外のクライアントとの商談、ホテル・旅館業、伝統文化関連の仕事、
そしてSNSでの情報発信や着物講師など、
“プロとしての信頼感・独自性を高める装い”として、着物は大きな力を持っています。
とはいえ、
「ビジネスの場で着物ってあり?」
「どの着物なら失礼にならない?」
「動きにくそうだけど大丈夫?」
と不安に思う方も多いはず。
この記事では、
ビジネスシーンで着物を着る際のポイント・選び方・TPO別のコーディネート・実用的な注意点をわかりやすく解説します。
1|なぜ着物はビジネスシーンで信頼感が高まるのか?

着物には、洋服にはない独自のプロフェッショナリズムがあります。
● ① きちんと感・品格を印象づける
着物は自然と姿勢が整い、清潔感のある佇まいを演出します。
ビジネスでは第一印象が特に重要。着物はその入り口を大きく支えてくれます。
● ② 自分の専門性・独自性を伝えられる
着物を着る=文化への理解が深い
という印象につながり、講師業や観光業では強い武器になります。
● ③ 記憶に残りやすい
ビジネスでは「覚えてもらう」ことも重要。
着物は相手の印象に残りやすく、名刺代わりの役割も果たします。
2|ビジネス向けの着物の選び方

ビジネスシーンにふさわしい着物を選ぶには、「控えめ・上質・動きやすさ」がキーワードとなります。
● ① 無地系または控えめな柄を選ぶ
柄が華やかすぎるとビジネスの場には不向きです。
特に初対面の商談や会議では「落ち着いた印象」が大切。
おすすめの種類
- 江戸小紋(細かい柄):最もビジネス向き
- 色無地(紋なし):万能
- 小紋(柄が控えめ):クリエイティブ系ならOK
ビジネスに合う色味は
紺・グレー・墨色・ベージュ・薄い藤色など落ち着いたトーン。
● ② 素材は「シワが少ない」「動きやすい」ものを
ビジネスでは立ったり座ったりが多いので、扱いやすい素材を選びましょう。
- 袷:フォーマル感が出る
- 単衣:動きやすく軽い
- ポリエステル着物:シワになりにくく、外回りでも安心
- 真綿紬:質感が上質でビジネスに馴染む
● ③ 半衿は白系で清潔に
半衿は“顔まわりの印象”を決める重要パーツ。
ビジネスでは白・オフホワイト・生成りが基本。
刺繍入りも可能ですが、控えめなデザインを。
● ④ 帯は金銀を避け、上品な名古屋帯を
ビジネスでは格調高すぎる帯は不向き。
金銀糸が強い帯はフォーマル向けなので避けましょう。
おすすめ帯
- 博多帯(締まりが良く動きやすい)
- 柄の少ない名古屋帯
- 無地系の染め帯
色は着物と同系色でまとめると知的な印象に。
3|ビジネスシーン別:着物の着こなし実例

● 商談・ミーティング
目的:落ち着き・信頼感・知性を見せる
- 着物:江戸小紋(紺・灰)
- 帯:シンプルな名古屋帯(紺・ベージュ)
- 半衿:白
- 帯揚げ帯締め:控えめなトーン
「できる人」の印象を与える堅実なコーデです。
● プレゼン・講師・セミナー登壇
目的:説得力・存在感・清潔感
- 着物:明るめの色無地(薄藤・水浅葱など)
- 帯:柄少なめの名古屋帯
- 帯揚げ帯締め:明るい色で華やぎをプラス
ステージでは少し明るさを加えると映えます。
● 海外クライアントとの商談・ホスピタリティ業務
目的:文化性・ホスピタリティ・プロ意識の表現
- 着物:紬または控えめな小紋
- 帯:博多帯でキリッと
- 帯締め:青・紺でシャープに
海外の方には「伝統と上品さ」のあるコーデが好まれます。
● クリエイティブ系やイベント時
目的:個性・ブランド性を伝える
- 着物:淡いグレーやモダン柄小紋
- 帯:北欧柄やモダン帯
- バッグ:レザークラッチなど和洋ミックス
“魅せる着物”がブランド価値を高めます。
4|ビジネスで着物を着るときの実用的ポイント

① 靴は「草履」でも「ブーツ」でもOK
最近は足元を現代的にアレンジする人も増えています。
- 保守的な場 → 草履
- クリエイティブ職 → ショートブーツ
- 外回り → 雨草履やレインブーツ
ブーツは防寒や移動のしやすさもメリット。
② バッグは洋装用でもOK(ただし小さめ)
ビジネスバッグを合わせる人もいますが、基本はシンプルで小ぶりなもの。
- 革のシンプルバッグ
- クラッチ
- 縦長のスリムバッグ
A4資料はサブバッグでカバー。
③ 仕事中の動きやすさを工夫する
- 腕が上がりやすいよう、衿合わせをやや広めに
- 立ったり座ったりが多い日は柔らかめの帯
- 外回りが多い日はポリエステル着物が安心
機能性を工夫するだけで一気に快適になります。
④ 長時間着る場合は「補整」を軽めに
補整をしっかり入れると美しく見えますが、
長時間の仕事では負担になります。
薄めのタオル1枚程度で十分。
5|着物ビジネスの“信頼感”を高める小物選び
● 帯締め
落ち着いた色で細めを選ぶと知的。
青・紺・白・銀鼠が万能。
● 帯揚げ
光沢控えめのちりめん素材が上品。
● 半衿
必ず清潔感をキープ。
シワや黄ばみは絶対NG。
● アクセサリー
基本は最小限。
ピアスは小粒、ネックレスは短めがよい。
6|ビジネスに着物を取り入れる際の注意点
① 「目立たせたい」ではなく「仕事の質を高める」意識を持つ
着物は目立つので、着ている本人の姿勢や言動はより重要になります。
② 派手すぎる色・柄は避ける
ビジネスは相手が主役。
自己主張が強い着物は控えましょう。
③ TPOによっては洋装のほうが適切な場もある
厳格な会議・保守的な業界などでは、まずは場の空気を読みます。
④ 衛生感に気をつける
シワ・汚れ・衿元の乱れは信頼感を損なうため要注意。
着物をビジネスシーンで着こなす方法まとめ
ビジネスで着物を着ることは、
単に「おしゃれ」ではなく、仕事の成果にもつながる戦略的な選択です。
✔ 落ち着いた色・控えめな柄を選ぶ
✔ 名古屋帯や博多帯で知的な印象に
✔ 清潔感・機能性・動きやすさを重視
✔ TPOに合わせて柔軟にスタイルを調整
これらを押さえるだけで、
ビジネスシーンでも洗練された「できる大人の和装」が完成します。
着物は文化性と品格を備えた日本独自のビジネスウェア。
あなたの仕事にも、さらなる信頼感と可能性をもたらしてくれるはずです。
(記事制作者:廣田 )
