
海外で着物を着るときのマナーとおすすめコーディネート
はじめに:なぜ海外で着物を着るのか?
近年、旅行や留学、国際イベントなどで海外に出かける日本人が増えています。
その中で「着物を持参して現地で着たい」「海外の友人に和装を紹介したい」という声が多く聞かれます。
着物は日本文化を象徴する伝統衣装であり、海外で着ると強いインパクトを与えます。
特に観光地や式典では「美しい」「エレガント」と注目され、会話のきっかけにもなるでしょう。
しかし、文化が異なる場所で着物を身にまとうにはマナーや配慮が必要です。
本記事では、海外で着物を着るときの注意点や、おすすめのコーディネートを詳しくご紹介します。
海外で着物を着るときの基本的な心構え

まず意識すべきは「着物は日本の文化を代表する衣装である」という点です。
観光客として着る場合と、公式の場で着る場合では求められるマナーが異なります。
- 清潔感を第一に:シワや汚れは海外では特に目立ちます。
- 説明できる準備を:現地の人に「なぜその着物を着ているの?」と聞かれたときに答えられると好印象。
- 無理にフォーマル化しない:観光や散策ならカジュアル着物で十分。
👉 ポイントは「日本人としての誇りを持ちながら、現地の文化に敬意を払う」ことです。
宗教・文化的背景への配慮

着物自体は華やかで美しいものですが、宗教や文化の違いによっては注意が必要です。
- 教会や寺院でのマナー
- 派手な柄や露出の多い着物(薄手の夏着物)は控える。
- 礼拝の場では帯や小物の音(鈴付きの帯飾りなど)を避ける。
- 派手な柄や露出の多い着物(薄手の夏着物)は控える。
- イスラム圏での注意点
- 鮮やかな赤や派手な装飾は避け、落ち着いた色を選ぶ。
- 髪を出すことに抵抗を持たれる地域では、髪型や羽織りで調整。
- 鮮やかな赤や派手な装飾は避け、落ち着いた色を選ぶ。
- 欧米のパーティー文化
- フォーマルドレスと同じ扱いを受けることが多い。黒留袖や振袖は「正装」として通用する。
- ただし、大げさに見えすぎないよう小物は控えめに。
- フォーマルドレスと同じ扱いを受けることが多い。黒留袖や振袖は「正装」として通用する。
シーン別の着物マナー

1. 観光で着る場合
- 小紋や浴衣などカジュアル着物で十分。
- 歩きやすさを重視し、足元は草履の代わりにパンプスやバレエシューズも可。
- 撮影を求められることが多いので、着崩れしにくい帯結びを。
2. パーティーやレセプション
- 訪問着や色無地が最適。
- 帯は華やかな袋帯を合わせ、アクセサリーは最小限。
- 洋装の方に混ざっても浮かない、落ち着いたトーンを選ぶと安心。
3. 結婚式や式典
- 黒留袖・振袖など格の高い着物を。
- 髪型はまとめ髪で清潔感を演出。
- 新婦や主催者より目立つ色柄は避ける。
機内や旅行中の着物の扱い方
海外に着物を持っていく際には、シワ・重さ・管理が課題となります。
- 持ち運び:専用の着物バッグや衣装ケースに入れる。
- 収納:滞在先ではできるだけ吊るす。折りジワはスチームで対処。
- 機内で着る?:長時間フライトでは浴衣や甚平風の軽装なら快適。ただしフォーマル着物は到着後に着替えるのがおすすめ。
コーディネートのポイント

帯の選び方
- 観光 → 半幅帯で動きやすく。
- パーティー → 袋帯で華やかさをプラス。
- シンプルな着物に柄帯を合わせると写真映え。
小物
- 草履の代わりにパンプスやブーツもOK(ヨーロッパの石畳に対応)。
- バッグはクラッチよりもショルダーが実用的。
- ショールや羽織を合わせると気候に柔軟に対応可能。
髪型
- 夜会巻きやシニヨンなどまとめ髪が定番。
- 花やかんざしは控えめに。大きすぎる装飾は現地で浮く可能性あり。
季節・気候に合わせた着物スタイル

- 暑い地域(東南アジア・南欧など)
- 単衣や浴衣素材がおすすめ。吸汗速乾インナーを必ず。
- 単衣や浴衣素材がおすすめ。吸汗速乾インナーを必ず。
- 寒い地域(北欧・北米など)
- 袷の着物に羽織や道行を重ねる。中にヒートテックを着ても問題なし。
- 袷の着物に羽織や道行を重ねる。中にヒートテックを着ても問題なし。
- 雨の多い地域(ロンドンなど)
- ポリエステル素材の着物を選び、足元はブーツで対応。
- ポリエステル素材の着物を選び、足元はブーツで対応。
実用的な工夫で快適に

海外での和装は「おしゃれ+実用性」が大切です。
- 靴:下駄や草履は石畳で歩きにくいため、ヒールの低いパンプスやブーツを選ぶ。
- バッグ:両手が空くショルダーバッグがおすすめ。
- 着付け:現地で着付け直しが難しいため、帯板や腰紐をしっかり。マジックテープ式帯も便利。
- 移動時間:着付けには30分〜1時間かかるので、予定に余裕を持つ。
現地でのレンタルやサービス活用
近年、観光都市(パリ・ニューヨーク・ロンドンなど)では着物レンタルサービスが増えています。
- 旅行者向けの体験プラン(写真撮影込み)
- 日本人スタッフ常駐のサロンでの着付け
- 留学先や国際イベントでは、日本文化交流会で着物体験ができることも
👉 着物を持ち運ぶのが大変な場合は、現地レンタルを活用すると便利です。
海外で着物を着るときのマナーとおすすめコーディネートまとめ
海外で着物を着ることは、日本文化を伝える素晴らしい機会です。ただし、現地の文化や宗教的背景への配慮が欠かせません。
- 観光なら小紋や浴衣でカジュアルに
- パーティーや式典では訪問着・留袖でフォーマルに
- 気候や地形に合わせて靴や素材を選ぶ
- 小物は控えめに、清潔感を大切に
- 持参が難しい場合は現地レンタルを活用
海外で着物を着れば、現地の人々との交流が深まり、忘れられない思い出が生まれるでしょう。
マナーを守りながら、自分らしいコーディネートで和装を楽しんでください。
(記事制作者:廣田 )